この記事でわかること

  • 水が入った駆動系の中が、実際にどうなっていたか(写真6枚)
  • 錆を落とすだけでは終わらなかった理由
  • 水たまりに入っていい深さの線引きと、それでも入らないほうがいい理由

こんにちは。埼玉県三郷市のジャイロキャノピー専門店、株式会社WINGオオタニの大谷です。

雨のたびに思うことがあります。水たまりは、思っているより高くつきます。今回はそれが分かりやすく形になった一台だったので、写真を残しました。

症状は「がたがたする」「発進がおかしい」だけだった

大雨のあと、走りが変だというご連絡をいただきました。伺った症状はこの2つです。エンジンは止まっていませんし、外から見て分かる異常でもありません。

駆動系のケースを開けて、原因が見えました。

浸水したジャイロキャノピーのギヤケース内部。アルミ全体に白い粉状の腐食
01. 開けた直後:アルミのケース内側が、全面にわたって白い粉を噴いたようになっています。これが「白錆」と呼ばれる腐食です。ベアリングが入る部分のまわりは茶色く錆びています。ここは外から見える場所ではありません。

アルミは白く、鉄は赤く錆びる

水が入ると、材質によって錆び方が違います。アルミのケースは白い粉を噴いたようになり、鉄のシャフトは赤く錆びます。この一台は、その両方が出ていました。

赤錆が出たシャフトときれいなシャフト。ジャイロキャノピー駆動系の浸水
02. シャフト:一本は全長にわたって赤錆が出ています。手前のケース側にも白い粉状の腐食が見えます。

「濡れただけ」と「錆びた」は別の話です。濡れただけなら乾きます。錆びたということは、水がそこに留まって、金属が変質したということです。

ベアリングは、抜いて交換した

ここからは同じ場所を3枚並べます。軸を支えるベアリングが、どうなっていたかです。

浸水で変色したベアリング。ジャイロキャノピーのギヤケース
03. 交換前:上下ともベアリングです。どちらも茶色く変色しています。
ベアリングを抜き取ったあとのギヤケース
04. 抜いたところ:同じ場所から部品を抜いた状態です。錆を拭いて終わり、という作業ではありません。
新品のベアリングを組み込んだジャイロキャノピーのギヤケース
05. 新品を組んだところ:ベアリングを新品に入れ替えました。使える状態ではありませんでした。

錆や腐食は落とします。ただ、落とせば元に戻るものと、戻らないものがあります。ベアリングは戻らないほうでした。回るための部品に錆が入ってしまえば、洗っても中身は元通りにはなりません。

洗って、組んで、走るところまで

洗浄と組み立てを終えたジャイロキャノピーのギヤケース。シャフト2本が収まった状態
06. 組み上がり:洗浄して、ベアリングとシャフトを組み直したところ。1枚目と同じケースです。

写真には写っていませんが、このあとベルトやプーリーなどの交換、クラッチの分解清掃も行いました。水が回った範囲は駆動系の一部だけでは済まなかった、ということです。

結果、問題なく走るようになりました。ここまでやれば直ります。ただ、直せるからといって、やらずに済むならそのほうがいいに決まっています。

水たまりは、どこまでなら通っていいのか

ここが今日いちばん書きたかったところです。

当店がお伝えしている線引き

  • 通っていい上限は「タイヤの厚みまで」。ゆっくり侵入しても、それを超えるとエンジン故障のリスクがあります。
  • アクスルシャフト(後輪の車軸)が浸かる深さは、もう危ない。車軸はタイヤの厚みより上にありますから、車軸が水に浸かっている時点で、通っていい深さを超えています。
  • そして、基本は入らない。これに限ります。

「ゆっくり入れば大丈夫でしょう」と言われることがありますが、速度の問題ではなく深さの問題です。ゆっくり入っても、深ければ同じところまで水が来ます。

そもそも、水たまりの深さは外から正確には分かりません。濁っていれば底は見えませんし、路面が窪んでいれば見た目より深いこともあります。迂回できるなら迂回する。回り道の数分と、駆動系を開ける修理では、比べるまでもありません。

もし通ってしまったら

今回の車両のように、症状は「がたがたする」「発進がおかしい」という体感の変化で出ることがあります。走れてしまうので、しばらく様子を見たくなる気持ちも分かります。

ただ、中で何が起きているかは、ケースを開けるまで見えません。気になる変化があれば早めにご相談ください。金額についても正直に書いておくと、浸水は分解して中を見るまで確定できません。外から見るだけの簡易点検(¥5,500税込)では見積もりは出せませんし、金額を確定するための分解・点検は実作業ですので有料です。この考え方は「安く直したい」が、いちばん高くつく理由に詳しく書いています。

よくあるご質問

Q1. 水たまりは、どのくらいの深さまでなら通っていいですか?

当店がお伝えしているのは「タイヤの厚みまで」です。ゆっくり侵入しても、それを超える深さはエンジン故障のリスクがあります。アクスルシャフト(後輪の車軸)はタイヤの厚みよりさらに上にありますので、車軸が浸かるような水たまりは、通っていい深さをすでに超えています。そして一番確実なのは、基本、水たまりには入らないことです。深さは外から正確には分かりませんし、迂回できるなら迂回したほうが安く済みます。

Q2. 水たまりを通ったあと、どんな症状が出ますか?

今回お預かりした車両では、お客様からの申告は「がたがたする」「発進がおかしい」の2つでした。駆動系の中で起きていることは外からは見えないため、走れてはいるものの体感がおかしい、という形で気づくことがあります。気になる変化があれば、早めにご相談ください。当店は完全予約制です(048-951-2115)。

Q3. 錆を落として洗えば直りますか?

洗浄と錆・腐食の除去は行いますが、それだけで終わるとは限りません。今回の車両ではベアリングが使える状態ではなかったため、新品に交換しています。写真には写っていませんが、あわせてベルトやプーリーなどの交換、クラッチの分解清掃も行いました。どこまで必要かは、ケースを開けて中を見るまで分かりません。

Q4. 浸水した駆動系の修理は、いくらくらいかかりますか?

浸水は、錆や腐食がどこまで広がっているかが外から見えないため、分解して中を確認するまで金額を確定できません。当店では、外から見るだけの簡易点検(¥5,500税込)では見積もりは出せないとお伝えしています。金額を確定するための分解・点検は実作業ですので有料です(症状と分解する範囲によって変わるため、作業前にお伝えします)。この考え方は「安く直したい」が高くつく理由のページに詳しく書いています。

大雨のあと、走りが変わったら

「がたがたする」「発進がおかしい」——体感の変化は、中で起きていることのサインかもしれません。 軽症か重整備かの目安は、写真4枚のLINE診断で無料でお答えします。

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